養子は相続人になるの?

今回のコラムでは養子が相続人になるかについて解説します。

養子縁組とは

養子縁組とは、法律上の手続きを経て人為的に親子関係を生じさせる制度のことをいいます。孫や再婚相手の連れ子を養子にしたいなどで使われることが多いです。
養子縁組をすると養子は「実子」となり、養親と養子は血縁関係がなくても親子関係が生じます。養親と養子に血縁関係がなくても、身分上は血縁関係のある実子と同じ立場となります。

普通養子縁組と特別養子縁組


養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。

普通養子縁組


普通養子縁組とは一般的な養子縁組のことをいいます。
普通養子縁組をした場合、実際の親である実親との血縁関係を残したまま、養親と親子関係が別途生じます。そのため、実親との親子関係は残ったままの状態となります。
次に紹介する特別養子縁組とは異なり、当事者同士の協議により離縁することもできます。

特別養子縁組


特別養子縁組とは、実親との法的な親子関係を解消して、養子と養親で新たな親子関係を生じさせる制度です。子共の福祉を増進するために作られた制度で、何らかの事情で実親が子共を育てることができないときなどに、育ての親に子共を託し、戸籍上も実の親子とさせるものです。実親との親子関係を完全に解消させる非常に強い効果をもたらす制度のため、民法817条の2で定められた厳しい要件を満たす必要があります。
また、特別養子縁組は離縁も原則として認められておらず、法定の条件を満たし、かつ、裁判所の許可を得なければならず、離縁するには厳しい条件をクリアする必要があります。

養子は相続人になるか


養子は普通養子の場合も特別養子の場合も養親が亡くなった場合は養親の法定相続人となります。
相続分割合についても実子の場合と違いはなく、実子と同じように考えることになります。
また、普通養子縁組の場合は実親との親子関係も消滅していませんので、実親と養親の両方の相続人となります。一方、特別養子縁組は実親との親子関係は消滅しているため、養親の相続人にはなれますが、実親から相続することはできません。

養子縁組があると法定相続人や相続割合が変わります


相続のタイミングで戸籍を調べて養子の存在が発覚した、離縁していると思っていたのに戸籍を調べると離縁していなかったというようなことは相続の現場では往々にして起こります。
養子縁組の有無で相続人や相続割合が大きく変わることもありますので、戸籍をしっかり確認して、養子縁組がある場合はそれを踏まえて相続手続きを進めていくことが必要となります。専門的な知識や経験が必要なこともありますので、養子縁組がある相続でお困りの場合はまずは相続の専門家に相談してみましょう。

 

令和5年7月3日掲載

※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。

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