相続した不動産を売却する場合の注意点
相続した不動産を売却するときは必ず相続登記が必要
相続した不動産を売却する場合、売却前に相続登記が必ず必要です。
相続した不動産は売却して売却代金を法定相続人で分けることができますが、相続登記をして名義を変えるときはどのように登記の名義を変えるか注意する必要があります。
法定相続人全員の相続登記を入れればいいのでは?
法定相続人全員の相続登記をして売却することも可能です。法定相続で相続登記をするのであれば遺産分割協議書も不要となります。
ただ、法定相続人全員の相続登記をする場合は以下の注意が必要です。
法定相続人全員で売却手続きをする必要がある
相続登記で全員の名義にした場合、売却するときは法定相続人全員で売却の手続きを行うことが必要となります。売却の手続きでは売買金額の決定、買主との売買条件の交渉、売買契約、売買代金の決済等、諸々の決定・手続きを行うことになりますが、それらを名義人となった法定相続人全員で行う必要が生じます。出席が求められる場面では全員の出席が必要となりますので日程調整に時間がかかったり、売却時には身分証明書や実印と3か月以内の印鑑証明書等の登記書類も用意する必要がありますが、それらも全員分用意する必要がありますのでその用意に時間がかかってしまうなどの事態が考えられます。
法定相続人全員で決定から手続きまで行うことになりますので、時間がかかって事務手続きが煩雑になるというのが大きなデメリットとなります。
相続登記を1人の法定相続人にすることも可能
法定相続人全員で相続登記をした場合上記のデメリットがありますので、法定相続人が複数いる場合は相続登記の名義は1人だけにすることもできます。その場合売却の手続きは相続登記で新しい名義人となった相続人だけで行えばよくなります。出席が求められる場面では名義人となった相続人1人だけの出席で済み、売却で必要となる身分証明書や印鑑証明書等の書類も新しく名義人なった相続人の分だけでよくなりますので、事務手続上の負担を大きく減らすことが可能となります。実務上はこの手法で手続きを行うことの方が多いです。
注意点
相続人1人だけの名義にする場合、遺産分割協議書を作成して法定相続人全員で実印での捺印をする必要があります。法的には遺産分割ということなりますので、書き方を間違えると代表相続人が全て相続した扱いとなり、売却代金を分けるときに贈与税等の税金が多額に発生してしまうなど取り返しのつかないことになりかねません。遺産分割協議書は税務上や法的に問題とならない書き方で作成することが必要です。専門的な話になりますので、遺産分割協議書を作成するときは一度専門家に相談するのが良いでしょう。
譲渡所得税に注意!
相続した不動産を売却した場合、状況により譲渡所得税が発生することがあります。この譲渡所得税は翌年の3月に確定申告で名義人が申告して納める必要がありますので、売却代金を分配するときにこの譲渡所得税の取り扱いについても話し合っておく必要があります。分配前に税理士に計算するなどをしてもらって、それをどのように分担して負担するかなども相続人間で事前に話し合っておくなどの対策が必要です。
令和4年9月2日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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