遺言執行者が行う相続登記申請
今回のコラムでは遺言執行者が行う遺贈の登記申請について解説します。
遺言執行者とは
遺言執行者とは遺言書の内容を実現するために手続きを行う者のことをいいます。
遺言執行者になるには予め遺言書で指定されておくか利害関係人が家庭裁判所に申立てを行うことにより選任してもらう必要があります。
遺言執行者は必ず指定しておかないといけないの?
遺言執行者は指定しておくかどうかは任意ですので、必ず指定しておかないといけないものではありません。
ただ、遺言執行者を指定しておかないと相続手続きのときに以下の問題が生じることがあるので注意が必要です。
遺言執行者がいないと相続人全員の協力が必要になる!?
遺言執行者が指定されていない場合、不動産を相続人以外へ遺贈するときには登記手続きで相続人全員の協力が必要となります。相続人全員の印鑑証明書の提出も求められますので、申請書(司法書士等に依頼し代理人が申請する場合は委任状)に相続人全員の実印の押印と相続人全員の印鑑証明書も必要となります。1人でも協力が得られない場合は遺言書で不動産を遺贈されていたとしても受遺者に名義変更することができないということになります。
もしそのような事態となってしまった場合は家庭裁判所に申立てをして遺言執行者を選任してもらい、選任された遺言執行者と一緒に不動産の名義変更を行うという方法があります。この場合、誰が遺言執行者になるかは家庭裁判所が選ぶことになります。
このような事態を予防する方法としては予め遺言書で遺言執行者を指定しておくのが良いでしょう。弁護士や司法書士の専門家に依頼することも可能ですので、事前に専門家に相談すると良いでしょう。
遺贈の登記手続き
遺贈の登記手続きは受遺者と遺言執行者(遺言執行者が選任されていないときは相続人全員)と共同で登記手続きを行う必要があります。登記手続をする法務局、必要書類、登録免許税は以下の通りとなります。
管轄法務局
不動産の所在地を管轄する法務局で登記手続きを行う必要があります。
不動産の所在地が神奈川にある場合は以下より管轄法務局を確認することができます。
【神奈川の管轄法務局(横浜地方法務局のサイトに飛びます)】
https://houmukyoku.moj.go.jp/yokohama/table/shikyokutou/all.html
必要書類
遺贈の登記での必要書類は以下の通りです。
①登記申請書(司法書士に依頼する場合は司法書士が作成)
②登録免許税額の収入印紙(書面申請の場合)
③遺言書(法務局保管でない場合は家庭裁判所の検認済の証明書が付いているもの)
④遺贈者の権利証(登記識別情報通知書)
⑤遺言者の除籍謄本(遺言者の死亡事実が分かるもの)
⑥遺言執行者の選任を証する書面(遺言書OR選任審判書)
⑦遺言執行者の印鑑証明書(3か月以内)
⑧受贈者の住民票(マイナンバーの記載がないもの)
⑨固定資産税評価証明書
⑩(司法書士に依頼する場合は司法書士が作成)
登録免許税
登録免許税とは登記等をするときに納める税金です。
遺贈の場合は不動産の固定資産税評価額の2%(1000分の20)となります。
ただし、受遺者が法定相続人である場合は軽減されて0.4%(1000分の4)となります。
登録免許税は登記申請をするときに登録免許税額の収入印紙を貼付して納付します。オンライン申請のときは電子納付することができます。
司法書士が申請する場合はオンライン申請で電子納付により納付することがほとんどです。
令和4年8月15日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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