遺産分割がまとまらないときはどうすればいいの?

 遺産相続では遺言書がない場合は原則として法定相続人全員が話し合いをして誰が何を相続するかを決める遺産分割協議を行う必要があります。
もっとも、必ずしも遺産分割協議がまとまるとは限らず、話し合いがまとまらないことも十分に考えられます。
今回のコラムでは遺産分割協議がまとまらなかった場合の手続きについて解説します。

 相続手続きでは原則として遺産分割協議が必要

相続手続きでは遺言書がない場合や全ての遺産について法定相続で相続する場合以外は原則として法定相続人全員での話し合いで相続方法を決定する遺産分割協議が必要となります。

遺産分割協議では法定相続人全員の合意が求められますので、相続方法の内容に合意をしない相続人が一人でもいる場合や連絡が取れない相続人等がいる場合は遺産分割協議が成立しないことになります。

 

話し合いがまとまらないと相続方法を決定することができない

遺産分割協議が成立しない場合は相続方法が決定できませんので、その後の相続手続きを進めることも非常に困難となります。遺産分割協議が成立するまでは全ての遺産について法定相続で相続している扱いとなり、未分割の状態が続くということになります。

 

家庭裁判所に調停を申し立てる

それでは遺産分割協議がまとまらない場合はどうやって相続手続きを進めれば良いのでしょうか。
遺産分割協議がまとまらない場合に取れる方法として家庭裁判所の遺産分割調停手続きがあります。遺産分割調停では家庭裁判所の裁判官と調停委員が調停委員会を構成し、相続人から事情を聴いたり、資料を求めたり等をして事情をよく把握した上で、解決のための助言をしてくれたり、調停案として解決案を提示したりなどをしてくれます。家庭裁判所が間に入って当事者全員の合意をめざして話し合いを進めてくれますので、自分達では話し合いが難しい場合には利用を考えてみるといいでしょう。

 

遺産分割調停でも話し合いがまとまらなかったらどうなる?

家庭裁判所の調停でも話し合いがまとまらなかった場合は家庭裁判所に遺産分割審判を申し立てることができます。
遺産分割の審判は裁判官が相続財産に属するものや権利義務の種類等の様々な事情を考慮して、相続財産の分け方を決めてもらいます。
審判に不服がある場合は2週間以内に申し立てることにより、即時抗告をすることができますが、即時抗告をしなかった場合は遺産分割の内容が確定し、審判書を使って相続手続きを進めていくことになります。

 

自分たちで話し合って決めるのが一番だけれども・・

遺産相続の手続きでは相続人全員で話し合って全員が納得した上で遺産分割方法を決定するのが理想ですが、必ずしも話し合いで解決できるとは限りません。
自分達だけでの話し合いがまとまらず相続手続きを進めることが難しくなっている場合には家庭裁判所の調停手続きの利用を検討してみるのもいいでしょう。

 

 

令和4年7月15日掲載

※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。

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