遺留分侵害額請求権とは
遺留分侵害額請求権とは、遺産相続の際に遺留分を侵害された法定相続人が、受遺者(いわゆる相続させる旨の遺言により相続した相続人を含む)又は受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する「金銭」の支払いを請求できる権利です(民法第1046条第1項)。
民法第1046条第1項
遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受遺者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
遺留分侵害額請求権を行使するには
遺留分侵害額請求権は遺留分を侵害された相続人が行使することにより請求できる権利です。遺留分侵害額請求権を行使するには遺留分を侵害した相手に意思表示の通知をする必要があります。この場合の通知をする相手は、遺留分を侵害する遺贈や贈与の受遺者、受贈者及びその包括承継人(相続人等)です。遺言執行者が付いている場合も同様ですので、遺言執行者ではなく、受遺者、受贈、その包括承継人に通知する必要があります。
遺留分侵害額請求権には時効があるので注意
遺留分侵害額請求権には時効があり、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年で時効により消滅することになります。「相続の開始」と遺留分を侵害する贈与又は遺贈」の両方を知ったときから時効期間が進行しますので、どちらか一方のみを知っただけでは時効は進行しません。例えば、相続開始はすぐに知ったが、遺留分を侵害する生前贈与は5年後に知ったという場合は、その生前贈与を知ったときから時効が進行することになります。
民法第1048条
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
除籍期間は10年(消滅時効とは別で消滅する)
遺留分侵害額請求権は1年の時効とは別に除籍期間が設けられています。上記の民法第1048条の後段に記載されているものが除籍期間になります。
除籍期間も消滅時効と同様に一定の期間が過ぎると権利が消滅する制度で、遺留分侵害額請求権の場合は「相続開始の時」から10年で消滅することになります。時効とは異なり、援用も不要ですので、「相続開始の時」より10年が経過すると自動的に遺留分侵害額請求権は消滅します。
遺留分侵害額請求権を行使する場合は早急に行使する必要があります。
遺留分侵害額請求権を行使する場合は時効や除籍期間があるため早急に権利の行使を行う必要があります。時効も1年と短くなっていますので、遺留分を侵害されていて遺留分侵害額請求権を行使したい場合は早く行動に出る必要があります。
令和4年2月3日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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