遺言執行者の相続財産目録の作成

 今回のコラムでは、遺言執行者の相続財産目録の作成について解説します。

 遺言執行者には相続財産目録を作成して相続人に交付する義務がある

遺言執行者は遅滞なく相続財産の目録を作成して相続人に交付しなければなりません。そのため、相続財産の調査が終了したらすぐに相続財産目録の作成に取り掛かる必要があります。遺言執行者の相続財産目録の作成義務については民法1011条で規定されています。

 

民法第1011条(相続財産目録の作成)

遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

 

相続財産目録の作成例

以下は相続財産目録の作成例となります。相続財産目録を作成するときの参考にしてください。

 


財産目録

 

遺言者 武蔵小杉太郎(令和〇〇年○月○日死亡)

本籍地 神奈川県川崎市中原区小杉町○丁目○番地

最後の住所 神奈川県川崎市中原区小杉町○丁目○番○号

 

(1)積極財産

 ①不動産

  川崎市中原区小杉町○丁目○番地

   宅地 ○○.○○㎡

  川崎市中原区小杉町○丁目○番地

   家屋番号 ○○番

   木造スレート葺2階建 居宅

   床面積 1階 ○○.○○㎡

       2階 ○○.○○㎡

 ②預金

  横浜銀行 武蔵小杉支店 普通預金 口座番号 ○ 金○円

  川崎信用金庫 武蔵小杉支店 普通預金 口座番号 ○ 金○円

 ③有価証券等

  株式会社○ 上場株式 ○株

(2)消極財産

 存在いたしません。

 

 上記のとおり相違ありません。

   令和○年○月○日

 

神奈川県川崎市中原区新丸子東二丁目907番地イオンビル501

遺言執行者 武蔵小杉 二郎 印

TEL ○○―○○○―○○○

FAX ○○―○○○―○○○


遺産の金額まで記載する必要はあるの?

遺言執行者が作成する相続財産目録は相続財産を特定しうる程度で足ります。そのため、その評価額までは記載する必要はありません。

 債務は記載する必要があるの?

遺言の執行に直接関係のない債務は記載する必要はありません。

ただし、包括遺贈のように遺言の執行に関係している債務については記載する必要があります。

 相続財産の目録作成は免除できる?

遺言執行者は相続財産の目録を作成する義務がありますが、相続人が相続財産目録の作成を免除した場合、義務はなくなるのでしょうか。

これについては、相続財産目録は相続人だけではなく、利害関係人にも重要な意味があるものですので、相続人といえども相続財産目録の作成義務を免除することはできないと考えられています。相続人に相続財産目録の作成を免除されても遺言執行者は相続財産目録を作成する必要があります。

 

令和4年1月17日掲載

※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。

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