遺言執行者の財産調査
今回のコラムでは遺言執行者が就任した後すぐにすべきである遺産の調査について解説します。
遺言執行者は就任後遅滞なく相続財産を調査する必要がある
遺言執行者は遺言執行者となった後すぐに、相続財産の目録を作成し、相続人や包括受遺者に交付する義務があります(民法1011条1項、990条)。そのため、遺言執行者は就任後直ちに相続財産の調査を行う必要があります。
民法
第1011条(相続財産の目録の作成)
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。
第990条(包括受遺者の権利義務)
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
相続財産の調査方法
それでは、遺言執行者はどのようにして相続財産の調査を行う必要があるのでしょうか。各種相続財産について遺言執行者が行うべき調査方法には以下の通りとなります。
①不動産
不動産についてはまずは市区町村役場で名寄帳を取り寄せて調査を行います。そして名寄帳をもとに不動産登記事項証明書を取り寄せ権利状態を確認します。
実際に不動産所在地現地にも赴いて、現況、占有状況、賃貸借関係の有無等の調査も行いましょう。
②預貯金
預金通帳の保管者がいる場合は保管者から引き渡しを受けて、それをもとに金融機関に対し、残高証明書や取引明細書の取り寄せを行います。
漏れがないように遺言者の最後の住所地の最寄りの金融機関に対しても残高証明書等の請求も行うと良いでしょう。
なお、金融機関に対しては遺言執行者の同意なく相続人等からの払い戻しに応じないよう通知もしておくことも肝要です。
③有価証券
有価証券も預貯金と同様に株券や証券等の保管者がいる場合は保管者から引き渡しを受けてそれをもとに証券会社等に残高証明書等の交付を受けます。
④債権等
契約書等の書面や領収書の控え等を保管者から引き渡しを受けます。それをもとに債権の種類、契約内容、金額、当事者の調査を行います。
⑤貴金属等の動産
遺言者が貴金属等の動産を保有していた場合、保管者から引き渡しを受けます。保証書や鑑定書がないかも確認し、ある場合は現物と併せて引き渡しを受けましょう。
遺言執行者に就任した後は早急に相続財産の調査を行いましょう
遺言執行者に就任した後は執行対象の財産を把握するためにも早急に相続財産の調査を行う必要があります。遺言執行者に就任した場合はすぐにでも相続財産の調査に取り掛かりましょう。
令和4年1月8日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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