遺言執行者選任申立て
今回のコラムでは遺言執行者選任申立てについて解説します。
遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言の内容を実現する者のことをいいます。遺言書で指定されている場合や家庭裁判所が申立てにより選任します。
遺言執行者がいないと相続手続きができない?
遺言の内容が相続分の指定であったり遺産分割方法の指定である場合は遺言執行者がいなくても相続手続きができます。これに対して遺贈の場合は遺言執行者が必要となることがあります。
遺贈の場合は遺言執行者がいないと相続人全員の協力が必要になる
遺贈の場合、遺言執行者がいないと原則として相続人全員の協力が必要となります。例えば、不動産登記手続きでは遺言執行者がいないときは受遺者を権利者、相続人全員を義務者として共同して登記申請をすることになります。この場合、必要書類として相続人全員の印鑑証明書(3カ月以内)も求められます。
これに対して、遺言執行者がいる場合は遺言執行者が相続人全員に代わり登記手続きをしますので、相続人全員の協力を得る必要がありません。
相続人全員の協力が得られないときは
相続人全員の協力が問題なく得られるのであれば遺言執行者がいなくても相続手続きが可能ですが、1人でも協力が得られない相続人がいる場合は相続手続きをするには遺言執行者がいないと相続手続きをすることが非常に困難となります。
遺言書で遺言執行者が指定されていなくて相続手続きをすることが難しい場合は家庭裁判所に申立てをすることにより遺言執行者を選任してもらうことができます。家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらえば相続人全員の協力が得られなくても家庭裁判所により選任された遺言執行者と受遺者とで相続手続きが可能となります。
遺言執行者の選任手続
遺言執行者の選任手続きは以下の通りとなります。
・管轄
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
※遺言者の最後の住所地が川崎市中原区だった場合は横浜家庭裁判所川崎支部が管轄家庭裁判所となります。
・申立人
利害関係人(相続人・受遺者・相続財産管理人・相続債権者・受遺者の債権者など)
・申立費用
①執行の対象となる遺言書1通につき収入印紙800円
②連絡用の郵便切手(家庭裁判所により異なるため事前に申立てをする家庭裁判に確認してください。)
・必要書類
①申立書
②遺言者の死亡の旨の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
③遺言執行候補者の住民票若しくは戸籍の附票
④遺言書の写し又は遺言書の検認調書謄本の写し
⑤利害関係を証する資料(親族の場合は戸籍謄本(全部事項証明書)等
※ケースによっては追加書類が必要になることがあります。
参考(家庭裁判所の遺言執行者選任のページのリンクとなります)
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_18/index.html
令和4年1月4日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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