戸籍が廃棄されていて取得できない!?
不動産や金融機関での相続の手続きでは被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍謄本(改製原戸籍謄本、除籍謄本含む)を集める必要がありますが、中には保存期間が過ぎていて市町村役場で廃棄されてしまっているものもあります。
今回のコラムでは戸籍の保存期間と廃棄されている場合の不動産の相続登記の方法について解説します。
戸籍の保存期間
戸籍の中でも保存期間があるのは除籍簿・改製原戸籍簿になります。戸籍簿については保存期間が定められていませんので、保存期間はありません。
保存期間が過ぎた除籍簿や改製原戸籍簿はは廃棄の対象となり、廃棄されている場合は役所から除籍謄本や改製原戸籍謄本を発行してもらえないということになります。
除籍簿と改製原戸籍簿のそれぞれの保存期間は次のとおりです。
保存期間
除籍簿
150年(平成22年6月1日以前は80年)
改製原戸籍
150年(平成22年6月1日以前は種類により80年または100年)
除籍簿については除籍された翌年より起算して150年経過すると廃棄処分の対象となり、改製原戸籍については、改製された翌年より起算して150年経過すると廃棄処分の対象になります。
保存期間を過ぎると相続手続きで必要となる謄本を発行してもらえないので、相続の書類が揃わないということになります。
もっとも、保存期間は長いですので実際に保存期間が過ぎていて除籍簿や改製原戸籍が廃棄されているというケースは実務上あまり多くはない印象ではあります。
ただ、廃棄されているというケースも当然あります。そのような場合は戸籍が揃わないということになりますが、そのような場合相続した不動産の相続登記はできるのでしょうか。できるとしてもどのようにしてすれば良いのでしょうか。
保存期間が過ぎて除籍謄本や改製原戸籍が取得できない場合の相続登記の方法
不動産の相続登記を法務局に申請する場合は被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍全てが原則として必要になります。
もし保存期間が過ぎて除籍謄本や改製原戸籍が取得できない場合は戸籍が全て揃わないということになります。
もっとも、廃棄されていて戸籍が揃わないからといって相続登記ができなくなるという訳ではありませんのでご安心ください。
保存期間が過ぎて廃棄されている場合は廃棄処分により除籍謄本(改製原戸籍謄本)を提供できない旨の証明書をまず役所で取得します。その上で相続人全員の他に相続人はいない旨の上申書を作成(相続人全員の実印を押印して相続人全員の印鑑証明書を添付する)して提供することで相続登記が可能となっています。
相続登記ができないと新しい権利証(現在は登記識別情報通知書)も取得できないですし、相続した不動産を売却したい場合は売却もできないということになり大変なことになりますが、その手当てはされているのでその点は安心して大丈夫です。
ただ、ケースによって対応が異なる場合もありますので、廃棄されていて除籍謄本や改製原戸籍が取得できないという場合は、司法書士などの専門家や法務局に事前に一度相談してみると良いでしょう。
令和3年10月23日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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