戸籍謄本や戸籍の全部事項証明書って何が違うの?
戸籍は戸籍謄本や戸籍の全部事項証明書と言ったりしますが、何が違うのでしょうか。
今回のコラムでは何が違うのかとどうしてこのように名称が違っているのかを解説します。
戸籍のコンピュータ化と戸籍の記載内容によって名称が違っているのが原因
戸籍謄本や戸籍の全部事項証明書というように名称が違うのは戸籍がコンピュータ化されたことと発行される証明書の戸籍の記載内容によって名称が使い分けられていることが原因です。
戸籍のコンピュータ化とは
平成6年に戸籍法の一部が改正されて従来紙にタイプまたは手書きで記録していた戸籍が磁気ディスクに記録及び調整されるようになりました。これを「戸籍のコンピュータ化」と言います。戸籍のコンピュータ化に伴い戸籍の名称や書式が変更されました。
コンピュータ化前と後の違いは次の通りとなります。
コンピュータ化前
名称
・戸籍謄本
・戸籍抄本
・戸籍の記載事項証明書
・除籍謄本
・除籍抄本
・除籍の記載事項証明書
用紙
・B4判横長
書式
・記述式
・漢数字
・縦書き
職印
・朱肉印
コンピュータ化後
名称
・戸籍の全部事項証明書
・戸籍の個人事項証明書
・戸籍の一部事項証明書
・除かれた戸籍の全部事項証明書
・除かれた戸籍の個人事項証明書
・除かれた戸籍の一部事項証明書
用紙
・A4判縦長
書式
・箇条書き
・算用数字
・横書き
職印
・電子職印
発行される証明書の戸籍の記載内容によって名称が違う
戸籍は発行される戸籍の記載内容によっても名称が異なります。上記の戸籍謄本や戸籍の全部事項証明書は役所に保管されている戸籍の原本全部を写した書面であるに対し、戸籍抄本や戸籍の戸籍の個人事項証明書や戸籍の一部事項証明書は戸籍の原本の一部を抜粋して写した書面となります。
コンピュータ化される前で戸籍の原本の全てが記載されているものが戸籍謄本となり、コンピュータ化された後で戸籍の全部が記載されているものが戸籍の全部事項証明書となります。
同じくコンピュータ化される前に戸籍の原本の一部が記載されているものが戸籍抄本となり、コンピュータ化された後で戸籍の原本の一部が記載されているものが戸籍の個人事項証明書や戸籍の一部事項証明書となります。
発行される証明書が戸籍の原本の全部が記載されているのか一部であるかや一部の中でもどの部分の記載がされているのかで証明書の名称が違っているのです。
相続の手続きでは証明書の名称が異なる戸籍を揃えることになる
相続の手続きでは被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍を揃える必要がありますので、証明書の名称が異なる戸籍を取得することになることが多いです。証明書の名称が違う理由や発行される戸籍の記載内容の違いを理解しておくと相続で必要な戸籍を集めやすくなりますので、今回の記事を参考にしてもらえればと思います。
おまけ
発行される戸籍謄本にはそれを交付した市区町村長の認証文と認証印が押印されていますが、発行される戸籍の種類によって認証文の記載内容も違っています。それぞれの認証文は次の通りとなります。
戸籍謄(抄)本
「この謄(抄)本は、戸籍の原本と相違ないことを認証する。」
除籍謄(抄)本
「この謄(抄)本は、除籍の原本と相違ないことを認証する。」
改製原戸籍謄(抄)本
「この謄(抄)本は、原戸籍の原本と相違ないことを認証する。」
戸籍の全部事項証明書
「これは、戸籍に記録されている事項の全部を証明した書面である。」
戸籍の個人事項証明書
「これは、戸籍中の一部の者について記録されている事項の全部を証明した書面である。」
除かれた戸籍の全部事項証明書
「これは、除籍に記録されている事項の全部を証明した書面である。」
除かれた戸籍の個人事項証明書
「これは、除籍中の一部の者について記録されている事項の全部を証明した書面である。」
令和3年10月12日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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