法定相続情報一覧図と相続関係説明図の違い②

今回のコラムでは法定相続情報一覧図と相続関係説明図の記載内容の違いと法定相続情報一覧図は取得した方が良いのかについて解説します。

 法定相続情報一覧図と相続関係説明図の記載内容の違い

法定相続情報一覧図と相続関係説明図では以下の点で記載内容に違いがあります。

 遺産分割協議で相続した人の情報や相続放棄した人の情報

法定相続情報一覧図は戸籍等から確認できる法定相続人しか記載ができませんので、遺産分割協議書によって相続する人を定めた場合や相続放棄をした人がいる場合でもでもそのことを記載することはできません。

一方、相続関係説明図は戸籍等から確認できる情報に限られませんので、遺産分割協議書で相続する人を定めた場合や相続放棄をした人がいる場合はそのことを記載することができます。

被相続人の相続開始時に相続権のある人しか記載することができない。

法定相続情報一覧図は被相続人の相続開始時に相続権のある人しか記載ができません。そのため、数次相続(相続が起こった後に相続人に更に相続が起こった場合等)の場合、数次相続での相続人の情報は記載することができません。例えば、父Aが死亡し妻Bと長男Cが相続人となった後に長男Cが死亡し孫Dが数次相続として相続人となった場合、父Aの死亡時点では孫Dは相続人となっていないため、数次相続の情報である長男Cの死亡と孫Dが相続人となっている情報を記載することはできません。

一方、相続関係説明図の場合はそのような制限はありませんので、数次相続が起こっている場合はその情報も記載することができます。そのため、長男Cの死亡と孫Dが相続人となっている情報を記載することができます。

兄弟姉妹相続の場合

兄弟姉妹相続の場合、直系尊属が既に死亡しているため、法定相続証明情報では直系尊属の氏名等は記載できず、(父)(母)のように記載することになります。

一方、相続関係説明図の場合は、兄弟姉妹相続の場合でも直系尊属の氏名、生年月日、死亡年月日を記載しますので直系尊属の情報も分かる内容となります。

 法定相続情報一覧図は結局取得した方が良いの?

結局法定相続情報一覧図は結局として取得した方が良いかと疑問に思われる方も多いと思います。結論としてはケースバイケースで判断していくことになります。法定相続情報一覧図取得のメリットは戸籍の束に代えられるというところにあります。そのため、提出先が複数ある場合や急いでいて同時に手続きを進めたい場合は、法務局で一度法定相続情報一覧図を取得しておけば後は戸籍に代えて法定相続情報一覧図を提出すれば良くなるので、法定相続情報一覧図を取得した方が良いとなります。一方、提出先が多くなく、急いでもいないということであれば戸籍を持って手続きをすれば良いのでわざわざ法定相続情報一覧図を取得する必要はないといえるでしょう。

 

令和3年9月23日掲載

※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。

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