法定相続情報一覧図と相続関係説明図の違い①

相続の手続きではよく「法定相続情報一覧図」と「相続関係説明図」という言葉を聞くと思います。この2つは何が違うのでしょうか。今回のコラムでは「法定相続情報一覧図」と「相続関係説明図」について解説します。

 法定相続情報一覧図とは

法定相続情報一覧図とは、戸籍の記載に基づいて被相続人(亡くなられた方)の法定相続人が誰になるのかを法務局の登記官が証明した書面のこと言います。平成29年5月29日から運用が開始され、法定相続人が誰であるかを示した公的証明書となります。この制度が運用される前は相続の手続きをする場合には各役所から集めた戸籍の束を持って相続の手続きをする必要がありましたが、法定相続情報一覧図がある場合は戸籍の束に代えることができますので、手続きの負担を軽減することができると期待されています。

 相続関係説明図とは

相続関係説明図とは、被相続人と相続人との関係や生年月日、死亡日などを記載した家系図のような表で法務局に提出する書類のことをいいます。相続登記を申請するときに相続関係説明図を添付すると戸籍を返してもらうことができます。

 法定相続情報一覧図と相続関係説明図の違い

法定相続情報一覧図と相続関係説明図は似ていますが、次の点で違いがあります。

 法務局の認証文の有無

法定相続情報一覧図には法務局の認証文がありますが、相続関係説明図に認証文がありません。そのため、法定相続情報一覧図は戸籍等に代わる添付書面として使用することが可能ですが、相続関係説明図は戸籍等に代わる添付書面としては使用することはできません。

 記載内容が異なる

法定相続情報一覧図と相続関係説明図はどちらも家系図のような表となりますが、記載内容が異なります。法定相続情報一覧図は戸籍謄本等から確認できる「法定相続人」しか記載することができませんので、記載内容が限定されます。一方、相続関係説明図は記載できる範囲は法定相続人に限られませんので、法定相続人以外の情報も記載することができます。例えば、相続関係説明図ですと遺産分割で相続した相続人を記載したり、相続放棄をした人の情報を記載することができますが、法定相続情報一覧図は「法定相続人」のみの記載に限られますので、遺産分割の内容や相続放棄をした相続人の情報を記載することはできなくなっています。

 

続きは次回のコラムで解説します。

 

令和3年9月18日掲載

※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。

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