遺産の一部だけを分割することはできる?
相続で遺産分割をするときに何らかの事情で先に一部の遺産だけ遺産分割をする必要があることがあります。このような場合に一部だけ遺産分割をすることはできるのでしょうか。今回のコラムでは遺産の一部分割について解説します。
遺産分割には全部分割と一部分割がある
遺産分割には全部分割と一部分割があり、遺産のすべてについて分割することを全部分割と言い、遺産の中の一部の財産について分割した上で残りの遺産を未分割の状態にしておくことを一部分割と言います。相続人全員の合意があれば一部分割することは可能です。
税金等の支払いがあり取り急ぎ資金を用意するために預金などの一部を先に分割して、残りの遺産は後日分割するというような場合などに一部分割が行われることがあります。
全部分割が原則!
一部分割をすることはできますが、遺産分割は全部分割で行われることが原則です。遺産分割調停や審判においても全ての遺産を1回の調停や審判で行うことが原則とされています。
理由としては一部分割は①解決すべき問題を先送りにすることになること、②残りの遺産の分割の際に先に行われた一部分割をどのように反映させるべきかで問題が生じる可能性があるという点です。
考えられるケースとしては、遺産である不動産と預金の内、先に預金について相続人全員の合意で一部分割をした後に、残りの遺産である不動産の分割の際に先に行った一部分割の取り扱いの認識に相続人間で食い違いが生じてしまうような場合が挙げられます。この場合、相続人全員の合意が取れなくなるので、残りの遺産である不動産の分割ができなくなるということになります。このような事態が考えられるため、安易に一部分割をすることはおすすめできません。当事務所でも可能な限り全部分割をするようにし、どうしても必要な場合にだけやむを得ない措置として一部分割をするようにするようアドバイスしています。
一部分割の遺産分割協議書を作成するときに明記しておきたいこと!
もし一部分割をする場合は、トラブル予防のため一部分割が残りの遺産の分割とは別個独立したものであること、一部分割が残りの遺産分割に影響しないものであることを明記しておくことをおすすめします。
令和3年7月2日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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