相続開始後に発生した地代や家賃は相続の対象になる?➁
前回のコラムでは相続開始後に発生した地代や家賃の相続について民法上の法定果実について解説しました。今回のコラムでは具体的に地代や家賃の相続がどのように扱われるのかを解説します。
遺産分割協議が成立する前と後を分けて考える必要がある
賃貸物件を相続した場合の地代や家賃の相続について考えるにあたっては、①相続開始から遺産分割までの間と➁遺産分割が成立した後と分けて考える必要があります。まず、➁の遺産分割が成立した後については簡単で遺産分割が成立して賃貸物件を相続する人がそれ以後の地代や家賃を取得することになります。
問題になるのは①の相続開始から遺産分割までの間となります。故人が死亡したときから相続は開始しますので、遺産分割が成立する前でも地代や家賃は発生しています。この間の地代や家賃は誰が取得することになるのでしょうか。
判例では...
この点については実は判例があります。判例では、①相続開始から遺産分割までの間の賃料について、「遺産は、相続人が複数いるときは、相続開始から遺産分割までの間、相続人全員の共有の状態にあるのだから、その間に発生した賃料債権は遺産とは別個の財産というべきであって、各相続人がその相続分に応じてそれぞれ単独で取得するものであり、後にされた遺産分割の影響を受けない」(最高裁判決平17.9.8)と判断されています。つまり、遺産分割が成立しても当然には賃貸物件を相続した人が遺産分割までの地代や家賃を取得することにはならず、各相続人がそれぞれ単独で取得することになります。例えば、4月1日に故人が亡くなり相続が開始し6月1日に相続人全員で遺産分割が成立した場合、4月1日から5月31日までは各相続人が相続分に応じてそれぞれ取得することになり、6月1日以降の地代や家賃は遺産分割で賃貸物件を相続した人が取得することになるのです。
次回のコラムでは今回のコラムを踏まえて賃貸物件を相続した場合の対処法を解説します。
令和3年2月1日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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