遺産分割で失敗しないためのポイントと事例
遺産相続のトラブルはなぜ起こるのか？
遺産相続は、家族間の信頼関係が揺らぐ大きな要因になることがあります。特に「遺産分割協議書の未作成」や「不動産の共有」は、後々のトラブルの原因となるケースが少なくありません。また、専門家に相談せずに自己判断で進めることも、大きな問題を引き起こす要因の一つです。
例えば、二次相続のことや税金、法的なリスクを十分に理解しないまま手続きを進めたり、感情に基づいた決定を優先してしまうことで、後から予期せぬ問題が発生することがあります。本記事では、具体的な事例を交えながら、失敗を防ぐための方法や注意点を詳しく解説します。
ケース１：遺産分割協議書を作らなかった結果のトラブル
事例
父親の一次相続の際に、遺産分割協議書を作成せず、名義変更も行わなかった場合、母親の二次相続で兄弟間の意見が対立。最終的に「母親の遺産を兄弟が均等に分ける」ことで話がまとまりましたが、内心不満が残り、兄弟の関係が悪化しました。
教訓
遺産分割協議書を作成し、不動産の名義変更を迅速に行うことで、後のトラブルを防ぐことができます。
ケース２：遺産分割協議書に代償分割を明記しなかった結果の贈与税リスク
事例
父親が亡くなり、兄が自宅不動産を相続し、妹にはその分の公平を図るために現金を渡すという形で遺産分割が行われました。しかし、遺産分割協議書には「代償分割」という文言が記載されておらず、兄が妹に渡した現金が贈与とみなされてしまい、妹に贈与税が課される事態となりました。
結果として、妹は以下の問題に直面しました：
・妹が受け取った現金の一部に贈与税が課税される
・贈与とみなされることで、税負担が想定より大きくなり、結果的に不満が生じる
思わぬ税金の負担を抱えることになり、双方にとって想定外のコストが発生しました。
教訓
遺産分割協議書の内容は慎重に確認し、代償分割が行われる場合は、その旨を明記することが必要です。遺産分割の際に専門家に相談せず、協議書の作成を安易に済ませてしまったことが原因です。専門家が関与していれば、協議書に「代償分割」という文言を正確に記載し、税務リスクを回避することができたはずです。遺産相続の手続きや相続税、贈与税に詳しい専門家のチェックを受けることで、後のトラブルを防ぐことができます。
ケース３：共有名義が招くリスクと税金の増加
事例
両親の自宅を兄妹で共有名義で相続したケースでは、後の建替えや売却で大きな問題が生じます。例えば、自宅の持分を兄が4分の3、妹が4分の1で相続した後、建替えを計画する際に、妹の承諾が必要となり、結果的に兄が1,000万円で持分を買い取る形になりました。この際、不動産取得税や譲渡所得税や登記手続費用が発生し、最終的なコストが膨らむ結果に。
教訓
初めから兄が土地を相続し、妹が金融資産を相続する形にしておけば、こうした税金は回避できた可能性があります。
専門家に相談するメリット
これらの事例に共通しているのは、遺産分割時に十分な計画を立てなかったことや、専門家のアドバイスを受けなかったことです。
司法書士や税理士に相談することで、以下のようなメリットがあります：
- 法律や税務面でのリスクを未然に防げる
- 相続人全員が納得する公平な分割方法を提案できる
- 将来のトラブルを見越した対策が可能
遺産分割を成功させるための3つのポイント
- 遺産分割協議書は必ず作成する
口約束ではなく、法的に有効な形で協議内容を文書化することが重要です。 - 専門家と早期に相談する
遺産分割の計画段階で、相続に詳しい司法書士や税理士に相談し、最善の方法を模索しましょう。 - 共有名義は避ける
不動産はできる限り特定の相続人が単独で相続し、代償分割や換価分割などで調整する方法を検討しましょう。
川崎・横浜エリアでの遺産相続のサポート
当事務所では、川崎・横浜エリアを中心に遺産相続のサポートを行っております。不動産の相続や遺産分割協議書の作成、相続税対策に関するご相談にも対応可能です。将来のトラブルを防ぐために、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
遺産相続は一度の判断が後々まで影響を及ぼします。専門家の力を借りながら、後悔のない相続を実現しましょう。
令和6年11月26日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
相続でお困りのときは専門家に相談しましょう
相続のことでお困りのときは、まずは相続に強い司法書士、税理士等の専門家に相談しましょう。相続のことを熟知していますので、必ず役に立つアドバイスがもらえます。
当事務所はJR武蔵小杉駅前の司法書士・行政書士事務所です。相続でお困りごとがあれば相続専門の司法書士・行政書士による無料相談を受け付けておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。
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この記事を監修した司法書士・行政書士
司法書士法人グランツ代表司法書士 松田 卓也
- 保有資格
- 司法書士・行政書士・宅地建物取引士・民事信託士・管理業務主任者・初級シスアド
- 専門分野
- 相続・遺言・民事信託・相続放棄・不動産売買
- 趣味
- 旅行・料理・法律の書籍を読み漁ること
- 経歴
- 司法書士法人グランツの代表を勤める。大学生の頃に亡くなった父の相続で苦労した経験から相続の専門家を志し、平成 25 年に司法書士試験合格。相続専門の司法書士・行政書士事務所で実務を経験し平成 29 年に武蔵小杉で開業。「専門家の目を行き届かせて円満相続を実現し、家族の幸せに貢献する」をモットーに日々相続業務に取り組んでいる。相談件数2500 件（令和 4 年 7 月現在）以上の豊富な経験から相談者からの信頼も厚い。
