遺言書の重要性

近年相続が増加し、遺産相続をめぐって家族間のトラブルも増加傾向にあります。
相続トラブルを回避するには遺言書を作成しておくことが重要となります。今回のコラムでは遺言書作成の重要性について解説します。

なぜ遺言書を作成しておくことが重要なのか?

遺言書を作成することで故人の希望通りの相続を実現することができます。
遺言書がない場合、法定相続となりますので、相続人全員で話し合って遺産分割の内容を決める必要があります。

遺産分割では全員の合意が求められますので、1人でも合意が得られないと遺産分割をすることができない事態となります。
遺産分割が不成立となると遺産分割調停など裁判手続きを利用することになりますが、裁判手続きは時間と費用がかかります。

また、家族間で対立は精神的な負担も大きく、裁判は長引くことが多いですので、負担は長期に渡って相当なものとなるでしょう。

こういったトラブルを回避するために遺言書を作成して残しておくことが大切です。

遺産分割が困難になるケース

法定相続で公平に分ければ良いのではないかと思われてしまうかもしれませんが、実際には遺産分割でもめてしまうことは多くあります。

特に遺産分割が困難になるケースとしては以下のものがあります。

①遺産の中に不動産がある場合

不動産がある場合には不動産を現物で分けることは困難であるため、分け方が難しくなります。誰かが相続する場合、相続できない人は不公平感を持ちます。

代償分割といって不動産を評価してお金で清算するという方法がありますが、不動産の評価は難しく、評価額や清算額をめぐってトラブルになることも多いです。

➁故人が再婚で前の配偶者との間に子共がいる場合

故人が再婚で前の配偶者との間に子共がいる場合、その子共も法定相続人となります。

このような場合、再婚後の配偶者とその子共で話し合いをして遺産分割をする必要がありますが、実際には交流がないことも多く、話し合いが困難になるケースも多いです。血の繋がりもないことから遺産分割内容で対立することは多いです。

③故人の介護をしていた相続人がいる場合

療養看護などで故人の介護などをしていた相続人がいる場合も、こればで負担をしてきた分を遺産でその分調整してほしいと主張されることがあり、遺産分割の内容でもめてしまうことがあります。

介護の負担は金銭的に評価することは難しく、法的なハードルは高いのが現実です。遺産相続で清算しようにも介護の負担分をどのように調整するかで意見が対立して紛争に繋がることも多いです。

④関係性の良くない相続人がいる場合

相続人に関係性が良くない相続人がいる場合もトラブルになりやすいです。
相続をきっかけに更に関係性が悪化し裁判に発展することもあります。

相続手続きでは各相続人の協力が必要になりますので、関係性の良くない相続人がいる場合は協力が得られなかったり、遺産分割内容で合意が得られず相続手続きが難航することが多いです。

⑤生前に贈与など行っている場合

故人が生前に一部の相続人に贈与などをしている場合、相続人間で不公平感が生じ、遺産分割の場面でトラブルになるケースがあります。

法律上は特別受益という制度がありますが、過去の話を持ち出して遺産分割のときに清算するというのは実際には難しいケースも多く、トラブルの原因になることも多くなっています。

遺言書を作って将来の相続に備えよう

将来のトラブルを回避するには遺言書を作成して残しておくことが重要です。

また、せっかく遺言書を作っても不備があり相続手続きのときに使用できなかったり、トラブルの原因にならないように、司法書士や弁護士などの相続の専門家に相談しておくと良いでしょう。

令和6年2月5日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。

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