相続資格が重複している場合の相続放棄
今回のコラムでは相続資格が重複している場合の相続放棄について解説します。
相続資格の重複とは
そもそも相続資格の重複とはどういうことかと思われる方も多いと思います。相続資格の重複とは相続が起こったときにある相続人が複数の相続人の資格を持ってしまう場合のことをいいます。例えば祖母が長男の孫を養子にして長男が死亡した後に祖父母が死亡し相続が起こった場合、孫は祖母の養子としての相続人の資格と長男の代襲相続人としての相続人の資格を持つことになりますが、このような場合は相続資格が重複しているということになります。
相続資格が重複しているとき相続放棄はどうなるの?
相続資格が重複している場合1つの資格でなされた相続放棄が他の資格にどのような影響するかは考え方が分かれており学説も分かれており、一律には決まっていない状況です。学説としては大きく以下の3つがあります。
①1つの資格でなされた放棄は当然他の資格に及ぶとする説
②異順位の場合には、先順位の資格でなされた相続放棄の効果は後順位の資格の相続放棄には及ばないが、同順位の場合には1つの資格でなされた相続放棄の効果が他の資格に及ぶとする説
③1つの資格でなされた相続放棄の効果が他の資格には及ばないとする説
①の学説は当然に他の資格にも影響することになり、反対に③の学説は他の資格には相続放棄の影響は及ばないことになります。②は他の資格が同順位か異順位かで分け、同順位の場合は他の資格にも相続放棄の効果が及ぶが、異順位の場合は他の資格に相続放棄の効果は及ばないということになります。
家庭裁判所での運用はどうなってるの?
家庭裁判所では相続放棄の申述書に申述人の資格がどのように記載されているかにより決めているようです。重複している資格が記載され、両者が同順位であるときは1件とし両方の資格について放棄するものであるとされ、重複している資格が異順位のときには2件として資格ごとに相続放棄するものとして取り扱われています。
そのため、相続資格が重複している場合には、家庭裁判所に対してどの資格について相続放棄をするのかをしっかり明示する必要があります。相続放棄するつもりでいたのに他の資格で相続することになってしまったということにならないよう注意が必要です。
相続放棄でお困りのときは専門家に相談しましょう
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