相続放棄は詐害行為取消権の対象となるか

詐害行為取消権とは、一定の条件を満たす場合に債権者が債務者の行為を裁判所に申し立てることにより取り消すことができる権利です。民法第424条で定められています。

 424条(詐害行為取消権)

債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2  前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

 民法第424条により債権者には詐害行為取消権が認められています。この制度は、債権者に債務を負っている者が、自分の財産を不当に減少させて、その結果として債権者への弁済ができない状態となることは不当であるとして、債務者が自分の財産を不当に減少させた行為を取り消すことができるとしたものです。

それでは相続を放棄をした者について債権者が債権を有している場合、民法第424条に基づき詐害行為取消権を主張して債権者は相続放棄の取り消しをすることができるのでしょうか。この点については遺産分割で相続分を放棄した場合と、家庭裁判所に申立てをする相続放棄とで結論が異なってきます。

 遺産分割は詐害行為取消権の対象となるか

 遺産分割協議でした遺産分割については判例は「共同相続人の間で成立した遺産分割は、相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産について、その全部又は一部を、各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移行させることによって、相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為であるということができるから、詐害行為取消権の対象となり得る。」(最判平成11611日)として、詐害行為取消権の対象になるとして判断しています。そのため、相続人間での遺産分割で自己の相続分を下回る内容で遺産分割した場合や、自己の相続分を無くす内容の遺産分割をした場合は詐害行為取消権の対象となり得るということになります。

 相続放棄は詐害行為取消権の対象となるか

相続放棄については判例は「相続の放棄は、詐害行為取消権の対象とはならない。(最判昭和49920日)として詐害行為取消権の対象とならないとしています。遺産分割と異なる結論ですが、相続放棄については通常の法律行為とは異なり、親族関係という特殊な身分により生じる相続権に関する意思表示であるため、相続放棄者の自由な意思を尊重すべきであるという考えが前提になっています。そのため、相続の放棄は詐害行為取消権の対象とはならないと考えられています。

相続放棄でお困りのときは専門家に相談しましょう

相続放棄のことでお困りの場合は、まずは相続放棄に強い司法書士、弁護士等の専門家に相談しましょう。相続放棄のことを熟知していますので、必ず役に立つアドバイスがもらえます。

当事務所はJR武蔵小杉駅前の司法書士事務所です。相続放棄でお困りであれば無料相談を受け付けておりますので、お気軽にご連絡くださいませ。

平日も土日祝も夜 9 時まで無料相談受付中!空きがあれば当日相談も可能です。

時間外相談・土日祝相談・当日相談・出張相談・完全予約制

044-299-7900

相談のご予約 9:00~21:00/平日・土日祝

営業時間 9:00~18:00/平日

近隣地域の方は出張相談も無料です。その他のエリアの方はお問い合わせください。

ご予約で時間外・土日祝も相談対応いたします(空きがあれば当日予約も可)