受理された相続放棄が後から無効になることはあるか

家庭裁判所で相続放棄の申述をし、相続放棄が家庭裁判所で受理されると相続人はその相続に関して初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法第939条)。そのため、故人が多額の借金を背負ったまま相続となったとしても、家庭裁判所で相続放棄をした相続人は故人の生前の債権者から支払いを求められても一切支払う必要がなくなります。相続放棄が受理されると家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が発行されますので、債権者にはこの相続放棄申述受理通知書の写しを差し出すか相続放棄受理証明書を家庭裁判所から発行してもらいそれを差し出せば、債権者は相続放棄されたということが分かるので、これ以上支払いを求められることもなくなります。

 相続放棄の効力は絶対ではない!?

上述のとおり、相続放棄をすると故人が背負っていた負債を相続せずにすみますが、家庭裁判所における相続放棄申述受理の審判は、相続放棄の意思表示を裁判所が公証する行為であって裁判ではないとされています(大阪高裁昭和27年6月28日決定)。そのため、債権者としては相続放棄に異議があり、相続放棄の効力を否定したい場合は別訴で裁判を起こすことにより、相続放棄の無効主張をすることが可能となります。裁判になった場合は、訴訟の手続きに則り、主張立証をして、相続放棄の効力が審理されることになります。

 相続放棄の要件を守ることが大切

相続放棄の無効が争われて裁判になった場合、争点は相続放棄が法律の要件を満たしているかどうかになります。相続放棄の大きな要件としては自己のために相続の開始を知ったときから3ヶ月以内の法定の期限内で相続放棄の手続きがされていることと法定単純承認にあたらないことです。そのため、相続放棄の手続きをする場合は、法定の期限を守って相続放棄の手続きを行うこと、法定単純承認にあたらないよう故人の相続財産の処分を行わないということが大切となります。

相続放棄でお困りのときは専門家に相談しましょう

相続放棄のことでお困りの場合は、まずは相続放棄に強い司法書士、弁護士等の専門家に相談しましょう。相続放棄のことを熟知していますので、必ず役に立つアドバイスがもらえます。

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