未成年者の相続放棄について

被相続人が多額の借金を残して亡くなってしまい相続人の中に未成年者がいる場合、未成年者だとしても原則として借金を相続することになります。借金を引き継がないためには未成年者も相続放棄の手続きが必要となります。

法定代理人が代わりに手続きをする

そうは言っても未成年者が単独で相続放棄の手続きをすることはできません。未成年者はまだ自分で判断して単独で法律行為を行うことはできないと扱われており、相続放棄手続きにおいても自分で手続きをすることはできないことになっています。未成年者が相続放棄をする場合には親権者が未成年者に代わり法定代理人として手続きをすることになります。
両親が婚姻していて両親ともに親権がある場合は父母のどちらでも未成年者を代理して相続放棄の手続きをすることができます。離婚をしていて父母のどちらか一方の単独親権となっている場合には、その親権者が未成年者を代理して相続放棄をします。両親がおらず、未成年後見人がついている場合などでは、その未成年後見人が法定代理人となって未成年者のために相続放棄の手続きを行います。

利益相反になることがある

未成年者に代わり法定代理人が相続放棄をする場合、場合によっては利益相反行為となってしまうことがあるので注意が必要です。
例えば、親と未成年者が相続人となる場合に、未成年者だけ相続放棄する場合は利益相反となります。未成年者が相続放棄をするとその分法定代理人である親の相続分が増えることになり利害が対立するためです。このように法定代理人と相続放棄する未成年者が利益相反となる場合には、特別代理人の選任手続きを家庭裁判所で行う必要があります。そして、家庭裁判所で選任された特別代理人が未成年者の代わりに相続放棄の手続きを行うことになります。

未成年者が相続放棄ができる期間

相続放棄が出来る期間は民法により、次のように定められています。

民法第915条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

この民法第915条で相続放棄は3ヶ月以内にしなければならないとされているため、原則として相続放棄では相続放棄をする本人が相続開始を知ってから3ヶ月以内に相続放棄の手続きをしなければいけません。もっとも、未成年者では相続放棄の熟慮期間は法定代理人である親権者が未成年者のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内とされています。そのため、未成年者の場合は、未成年者本人が相続を知ってからではなく、法定代理人が未成年者のために相続開始があったことを知ってから3ヶ月以内となります。

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