相続放棄と未支給年金

相続放棄のご相談を受けているときに、「未支給の年金を受領する手続きをしてしまったのですが、相続放棄できますか」とご質問を受けることがあります。このような未支給の年金を未支給年金といいますが、未支給年金の手続きをしてしまうと相続放棄はできなくなるのでしょうか。今回のコラムでは未支給年金と相続放棄の関係について解説します。

未支給年金とは

未支給年金とは亡くなった方がまだ受け取っていない年金のことを言います。年金は年金受給者が亡くなると受給権は無くなります。それではどうして未支給年金という話が出てくるのでしょうか。

年金が支給される仕組みに理由がある

年金は偶数月の15日に2ヶ月分が支給されることになっています(15日が土日祝日の場合は直前の平日に支給)。例えば6月は4月と5月分が支給されます。

8月に亡くなった場合、7月分と8月分を受け取ることができますが、支給は9月にされることになります。そのため9月に支給される未支給年金という話が出てくるのです。

未支給年金を受け取れる人

未支給年金は故人と生計を立てていた人が受給することができます。

受給できる順位は決まっており、下記の順位となります。

第一順位:配偶者

第二順位:子

第三順位:父母

第四順位:孫

第五順位:祖父母

第六順位:兄弟姉妹

第七順位:上記を除く三頭身の親族

未支給年金を受給すると相続放棄はできなくなるか

未支給年金は亡くなられた年金受給者の代わりに受給権利者が受け取ることができるものとなります。そのため、未支給年金は相続財産にあたるのではないかと考えられるかもしれません。しかし、未支給年金は相続財産ではないと考えれています。年金法では相続とは関係なく独自の立場で未支給年金の受給権者が定められているためだと考えられているからです。したがって、未支給年金は相続財産にはあたらないため、未支給年金を受給していても相続放棄は可能となります。未支給年金を先に受給してある状態でも相続放棄は可能ですし、相続放棄が受理されている状態であっても未支給年金を受給することは可能となります。

相続放棄でお困りのときは専門家に相談しましょう

相続放棄のことでお困りの場合は、まずは相続放棄に強い司法書士、弁護士等の専門家に相談しましょう。相続放棄のことを熟知していますので、必ず役に立つアドバイスがもらえます。

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