絶縁した親族でも相続放棄は必要か
親族の関係を法律上絶つのは難しい
親子や兄弟であったとしても家族の在り方や家族関係は色々あります。
「もうお前とは家族じゃない! 勘当だ!出ていけ!」と父親が叫んで、子供を叩き出すというシーンは、映画やドラマでも見たことがあると思います。
またそこまででなくても、様々な親族間での縺れにより親子間、兄弟(姉妹)間で連絡を絶ち音信普通になっているケースは世の中にはたくさんあります。私も多数の相続案件を担当してきましたが、実際にそういうケースを何度も見たことがあります。
このように何らかの事情で親族間で絶縁状態になった場合ですが、法律上は親子(兄弟姉妹)の縁を切るのはそう簡単ではなく、夫婦の子供だったと思っていたら実の子ではなかった(嫡出否認)とか養子離縁(裁判離縁)とか、といった場合を除いて、一度法律的に成立した親子の縁を切ることは出来なくなっています。
唯一、「相続廃除」という手続きをとれば、ほぼ完全に親子の縁を切ることができますが、ハードルはかなり高く本当に手のつけられない極道息子(娘)でない限り、認められない事が多くなっています。この相続廃除の申立てを家庭裁判所にしても審査は非常に厳しいのが現状です。
絶縁していても被相続人の負債を免れるには相続放棄が必要
上述のとおり、不仲で絶縁状態となった親子の間でも兄弟の間でも、日本の法律上では親子あるいは兄弟の関係である事に変わりはありません。
そのため、絶縁していたとしても親が亡くなれば子供には相続権というものが付いてきます。絶縁し全く疎遠にしていた兄弟でも亡くなった兄弟の方に子がなく両親と祖父母も既に亡くなっている場合には相続人となります。また、仮に、絶縁していた相続人を除き、他の相続人だけで勝手に遺産分割協議をおこなっても、そこで決められた内容は法的には無効です。被相続人に負債があった場合には負債を相続しなければならなければなりません。負債を相続したくないということであれば被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続開始を知ってから3ヶ月以内に相続放棄の手続きをしなければなりません。被相続人が負債を抱えて亡くなった場合、絶縁して親族の関係を絶っていたとしても、相続したくないのであればそのままにせず3ヶ月以内に家庭裁判所で相続放棄をすることをおすすめします。